サヴァイヴィングライフ

ずっと楽しみにしていたサヴァイヴィングライフのDVDが届きました
劇場公開には行けなかったので、めっちゃ待ち望んでいました
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・あらすじ
しがない中年男のエフジェンは、口うるさい妻ミラダの愚痴を聞かされ辟易している。ある夜、夢の中で出会った美しい女が気になる彼は、精神分析医のホルボヴァーを訪ねる。カウンセリングを受ける過程で、幼い頃に両親を亡くし児童養護施設で育った経験が関係しているらしいことがわかってくる。彼は、夢の操作法に関する書物を探し、自分の意志で夢の世界に入る方法を見つける。そして毎日、会社に行くふりをして夢の中へ出掛けるように……。

 
チェコシュルレアリストヤン・シュヴァンクマイエル監督の最新作は、「夢」をテーマにしたサスペンスです。
 
イカ、卵、蛇など、夢に関するモチーフが各所に登場し、美しくグロテスクな映像表現が魅力的です
 
人物のアップ以外は、動きに切り絵を用いたアニメーションが使用されています。実写とアニメを交互に繋ぐ
ことで、違和感なく融合することに成功しています。
 
作品の前置きとして、監督本人が登場しますが「予算がなかった」とか「尺が足りなかった」とか、皮肉とも
つかない言い訳じみた解説を述べています。これは作品に余韻を持たせるための、シュルレアリスム
解釈だと思います。
 
物語が進むごとに、夢と現実の区別がつかなくなり、やがて衝撃的なラストを迎えますシュルレアリスム
基本哲学である、夢や無意識の世界に、深く没入していく男の深層心理が描かれています。
 
登場人物や小道具などの、コマ撮りのために使った写真素材は1万点を超え、背景にも数百枚に及ぶ膨大な
素材が使われているそうです。
 
それらをひとつずつ動かして、アニメーションを撮るのは、本当に気の遠くなるような緻密な作業の連続です。
今年で齢78歳にもなるシュヴァンクマイエルですが、衰える事がない創作力には驚愕します
 
当初この映画は、最後の監督作になると想定していたそうですが、彼はチャペックの「虫の生活」を題材に、
次の映画についても構想を練っているそうなのでまた楽しみですね