一千一秒物語

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図書館で、稲垣足穂の「一千一秒物語」を借りた。

少年愛、数学、天体、ヒコーキ、妖怪…近代日本文学の陰湿な体質を拒否し、星の煌きに似た
ニヒリスティックな幻想イメージによって、新しい文学空間を構築する《21世紀のダンディ》
イナガキ・タルホのコスモロジー


僕がこの本を知ったのは偶然、朝ラジオ番組で紹介されていたのを聞いたときだった。
寝ぼけた意識の中で、パーソナリティが読む「一千一秒物語」を聴いたときの衝撃は忘れられない。
3行から2ページくらいの、短編の物語がいくつも収録されているのだが、月や宇宙への憧れ、
超現実的な空想世界と、大正浪漫が同居しているようなアンバランス感覚はとにかくすごい!!!
足穂の難解だが豊かな文章表現は、想像力を掻き立てられるし、時空を越えて感動を文章にする感性を
持った人だったんじゃないかと思う。

他の8編も、面白そうだから早く読みたい~~~^-^



そんな足穂の「一千一秒物語」から1話だけ引用してみます↓

☆自分を落としてしまった話

昨夜 メトロポリタンの前で電車からとびおりたはずみに 自分を落としてしまった
ムービィのビラの前でタバコに火をつけたのも、かどを曲がってきた電車にとびのったのも、
窓からキラキラした灯と群集とを見たのも、向かい側に腰かけていたレディの香水の匂いも、
みんなハッキリ頭に残っているのだが 電車を飛び下りて気がつくと 自分がいなくなっていた