DREAM

ベッドに飛び込み、2つのシャッターを閉じると、銀幕の残像を見ている世界があった。
 
まやかしの光が視界から消えると、二律背反の陰の側面が本質を照らし始めた。
 
意識の裏側で、操り人形の糸が切れて、脱脂綿に様々な色のインクが滲んだ。
 
精神世界に浸透すると、暗黒の宇宙に無数の星々が命を宿して輝きだした。
 
無数の光の点を数えていると、抽象的な存在が具象的になり、白い箱の中で触れることができた。
 
形而上の世界が目の前にあり、五感では感じ得ない深遠を隔絶している壁が壊れた。
 
その瞬間、今見ているのは現実世界の本質的な部分であることに気付いた。
 
つまり、ベッドに飛び込む前の表側の世界はまやかしの舞台で、肉体は操り人形だったのだ。
 
五感で知覚しているフィルム上の残像は、形而上では全く違う性質のレンズを通して焼け焦げた。
 
ボールの表面が再び意識の表側を照らすと、そのことはすっかり頭の中から消えていた。