「2001年宇宙の旅」という映画の素晴らしさ

自分の人生を変えたといっても過言ではない、たったひとつの映画が「2001年宇宙の旅」なのです。
 
すばらしい映画は世界に無限にあって、それこそ一生かかっても全部見ることは不可能なのですが、おそらく
「2001年宇宙の旅」を超える感動と衝撃には死ぬまで出会えないだろうと思います。
 
僕は映画マニアではないし、そんなにたくさんの映画を見たわけではないのでこんなことを書いたら恐ろしく極端
な見解だと非難されるかもしれません。でもこの映画の前では他の映画はどれも安っぽく、リアリティに欠ける
陳腐なものに見えてしまうのです。
 
キューブリックの他の作品も素晴らしいけど、やはりこれが最高傑作だと思います。
 
制作は、原作者であるアーサー・C・クラークと共同で進められ、緻密にストーリーが練られ細かいディティールに
は完璧主義者であるキューブリックの意向が反映されることになり、公開予定日を数年遅れて完成します。
 
膨大なアイデアを出し合い、試行錯誤している過程は、著書「失われた宇宙の旅2001」に書き記されています。
当初は様々なストーリーが練られたのですが、最終的にはすべてを削ぎ落として映像化されます。
 
そのため、原作を読まずに映画を見ても支離滅裂な後半の展開には観衆がそれぞれ解釈すればよいとの見解が
生まれることがあるが、それは大きな間違いで、原作とセットで体験しなければこの映画に込められたテーマを
理解することはできない。
 
特にキューブリックの映画は、映像作品としての要素が強いので原作を読まないと理解できないことが多い。
 
ここには説教めいた教訓もなければ、ある時代にしか通用しない偏った価値観や道徳みたいなものもない。
そこが、この映画が時代を超越した人類の遺産ともいえる永遠の芸術作品たらしめているのである。
 
もう何回見たか分からないくらい映画を見て、原作も読んでいるが、何度観てもこの作品に込められた人類の
永遠のテーマについて考えさせられるし、映像の美しさに言葉を失って見入ってしまいます。
 
気持ちを切り替えたいときや、何かに行き詰ったときにこの映画を見ると心地よい爽快感とともに、未だにすべてが“無”に還った満たされた感覚が味わえます。そして自分の中で何かが大きく変わったと感じるのです。