石田徹也

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石田徹也の遺作集を買った
 
この画家のことは去年の年末に書店で見つけて知ったのだけど、一度見ただけで
ずっと胸に残っていて忘れられない何かがあったのだ。
 
彼と同じ世代に生まれた人たちのことは、俗に「ロスト・ジェネレーション」だとか言わ
れているらしいが、石田の絵に登場するどこかうつろで悲しい表情の人物は、現代
を生きる人々の心象世界を体現しているように思う。
 
その手法はシュールレアリスムを取り入れながら、現代社会を皮肉ったような痛々し
い表現であるのだが、それは時にユーモアをも感じさせる。でも決して軽く笑い飛ば
せるようなものではなく、見る者にずっしりと重い何かを残す。
 
それは得体の知れない不安であったり、人間関係や社会に対して何か考えさせられ
るものであったりする。
 
後期の作品では、あまり絵自体に意味を込めたものではなくなり、より見る者に対す
る受け取り方だとか、イマジネーションを掻き立てられるものが増えてくる。
 
コンピューターや機器類、人工的な構造物に囲まれて育った僕等のアイデンティティ
石田徹也の作品は強く共感できるものがある
 
惜しくも31歳で急逝してしまったが彼の作品は今を生きる人々に再評価されている。