気狂いピエロ
Pierrot le fou Trailer (Jean-Luc Godard, 1965) - Subtitled
この映画は、理屈とか教訓で語れるものではなく、ただ美しい映像に浸って感じる映画だと思う。
この色彩というか、空気感というのか、異常な澄んだ美しさに目を奪われて見入ってしまいます。
そして、主人公たちが交わす詩的で、魅惑的な美しい台詞の数々には心を奪われます
それとは相反して、ストーリーは支離滅裂で、どこか核心を失ってしまったかのような突拍子のなさが
制作者の意図を理解できないようでいて、でも心地よい映像に釘付けになります・・・。
登場人物はどこか狂気めいていて、人生の舞台を演じる「ピエロ」であるという映画のタイトルがここでの
テーマを表しているように思う。
特に起承転結もないまま、流れるように映画は展開していくが、時の経つのも忘れるような不思議な感覚
に捉われる。
そして、ラストは実にあっけなく、だが衝撃的に終わる。人間なんて本当にちっぽけで取るに足らない存在
であり、人生なんて無意味なものだが、でも“美しい”とこの映画を見て感じた。