IN SQUARE WINDOW

丸い窓が世界を照らす真夜中、自分は薄暗い監獄で四角い窓を眺めていた。
 
四角い窓の中では、誰かの笑い声と誰かの叫び声が聞こえ、両者は遊びながら戦っている様子だった。
 
しかし、自分は意識を失っていて、もう片方の正常でないほうの意識は、昨夜の四角い窓のことを考えていた。
 
すると突然、意識の中に誰かの笑い声がやってきて、自分は四角い窓の中に吸い込まれた。
 
気がつくと、自分は草原にいて、だだっ広い緑のうねる海の向こうに、誰かが立って名前を呼んでいる。
 
全力で走ってそこへ追いつこうとしたが、一向に辿りつける様子はなく、疲れ果て時間がなくなってしまった。
 
空から笑い声がして、重力がゼロから逆さまになると、自分は大気に抱かれ、天へ落ちて行った。
 
気がつくと、黒いゴミ袋の中に閉じ込められていて、どうやったら出られるのかと思ったが、何も分からなかった。
 
周りからの情報は何も分からなかったが、ただ丸い窓が開いていて、そこから世界を見渡せるのだった。
 
すると意識が飛んで、四角い窓を正常でない方の意識で眺めている自分が脳裏をよぎった。
 
誰かの叫び声がやってきて、非現実の世界へ引き戻されると、自分は監獄を出て丸い窓を確かめに行った。
 
空っぽになった箱の中の四角い窓には砂嵐が流れていたが、それはだだっ広い緑のうねる海なのだった。