ELEPHANT

目が覚めると、頭が象で体は人間の格好のまま通りを歩いていると、人々が動物を見ていた。
 
やけに頭が重く、ちっとも前へ進めないと思ったら、長い鼻を踏みつけて前のめりに倒れた。
 
道端でそれを見ていた動物が笑ったので、堪忍袋の緒が切れて顔を真っ赤にして服を脱ぎ捨てた。
 
地響きを立てて近寄ると、鼻を巻きつけて道路標識を抜き取り、唸りを上げて振りまわした。
 
よわよわしい動物が倒れると、サイレンを鳴らした車がいくつかやってきて、大急ぎでどこかへ逃げて行った。
 
大笑いしながらそれを眺めていると腹が減ったので、箱の中の食料をむさぼると誰もいないことに気付いた。
 
昼寝をしていたら、もう一度サイレンを鳴らした車がたくさんやってきて、今度は武器を持っていた。
 
怒って体を大きくすると、箱を壊して現れ、おもちゃの車や人間を蹴散らし、建物を壊しながら歩いた。
 
前方に酒場の箱が見えたので、蛇口を開くとホースから浴びるように体内の海を泳いで飲んだ。
 
満たされた気分になると、海が急に渦を巻き始め意識の排水口に吸い込まれると、空っぽのプールが残った。
 
チューブの中を流れて行き着いた先は大気の世界で、意識は雲になり様々な色の風船が浮いていた。
 
ずっとそこにいたかったが、自分の風船は軽すぎて天国に行きつくと割れて、空から象が降ってきた。
 
雲の上でピンクの象と踊る夢を見ていると、羽が生えた動物が連れ戻しにきて目覚めると通りに倒れていた。